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    *孤独死は本当に孤独なのか?

    これまでベールに包まれていた実態として、警察庁が5月に初めて出した統計で、今年1月〜3月にひとり暮らしの自宅で亡くなった65歳以上の高齢者はおよそ1万7000人という記事を読んだ。

    このままのペースで推移すると、独居状態で死亡する高齢者は年間約6万8000人になると推計されている。

    今や孤独死で最期を迎えるということは決して珍しいケースではない・・・と。

    孤立死(孤独死)・・・誰にも看取られることなく息を引き取り、その後、相当期間放置される悲惨な最期。

    (内閣府「高齢社会白書」より)

    統計によると、孤独死は男性が多く、7〜8割が60歳以上。

    女性の方が長生きなのに、男性の方が多いのはなぜか?

    男性は生涯未婚率が高く、結婚していたとしても離婚をしたあとは家族と離れて暮らす人も多く、単身世帯が増加したことが理由として挙げられている。

    だが女性も安心してはいられない。

    生涯未婚率や熟年離婚が増えている昨今、夫と死別したり子供も独立して一人暮らしとなった今、60〜70代の女性は『孤独死予備軍』と言われている。

    孤独死が増えている理由としては、高齢者と社会の接点が少なくなったこと。

    家族と一緒ではなく単身で暮らしたり、近所や友人知人と交流がないなど。

    前回のコラムで書いたが、定年退職してから外に出なくなった男性は家に閉じこもりがちになったりしていないだろうか。

    仕事一筋で生きてきた男性は会社に行って仕事をするという人生のほとんどを占めていたものが無くなり、急に社会から取り残された感を味わうことになっていないだろうか。

    男性と女性では、この点でも差が出ているように思う。

    しかし、精神科医の和田秀樹さんは言う。

    「孤独死は理想的な死に方だ」と。

    なぜか?

    よく考えてみると、死ぬ直前までは元気だったから。

    俗に言うPPK(ピンピンコロリ)というやつだ。

    病院のベッドで天井を見つめて死ぬのではなく、住み慣れた自宅で亡くなるのは当人にとって幸せなことではないだろうか。

    ひとりであることを受け入れ、しっかり準備しておく方が心や時間にゆとりが生まれ、最期まで生き切ることができる。

    そう考えれば、ある意味孤独死は理想的な死に方というのも納得である。

    ではなぜ「孤独死=惨めな死」という風に認識されているのか。

    それは、遺体をなかなか見つけてもらえないというイメージがあるからだろう。

    死後誰にも見つけてもらえず、長期間放置された状態で遺体が腐り異臭が出ていることもあるからだ。

    記事を読んでいて気になったのが、一人暮らしだけではなく『同居』の状態でも見つけてもらえない場合があるということ。

    こんな事例が書かれていた。

    2階に住む親と1階に住む子の交流がなく、親が息絶えたことに子が1週間気付かないというケース。

    また、リビングで亡くなった夫を認知症の妻が「お父さんが寝たまま臭くなった」と見守り、1ヶ月放置したケース。

    さらには、親の介護をする50代の子の体調が急変して亡くなり、続けて80代の親が亡くなるという『ダブル孤独死』のケース。

    超高齢化に伴って、孤独死のパターンも多様化しているようだ。

    では、長期間気付いてもらえない惨めな孤独死を防ぎ、『理想の孤独死』を叶えるためにはどうすればいいのか。

    「早く見つけてもらえる手を打っておく」ことだと識者は口を揃えている。

    家族や友人を頼れない場合は、官民のサービスを利用するのが良い。

    例えば、東京都板橋区なら『高齢者緊急通報システム』というのがあるらしい。

    民間の警備会社も見守りサービスを提供しており、ALSOKの『みまもりサポート』やセコムの『親の見守りプラン』というものがある。

    皆がよく使っているであろう LINEにも『エンリッチ見守りサービス』がる。

    各種、有料・無料プランがあるようなので自分に合ったサービスを検討してみてはどうだろうか。

    何度も言うが、終活の中で一番大切なのは意思表示をしておくことである。

    お葬式やお墓のことも大事だが、自分が死ぬまでのこと、どういう最期を迎えたいかを決めておくことが重要である。

    延命治療を含め、自分の死を誰かに決定させることはあってはならない。

    自分の準備次第で、孤独死は極上にも悲惨にもなる。

    どのように生きて、どのように孤独死を迎えるかが大切なのである。

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    *『終活』と『老活』

    少し前から『老活』という言葉を耳にするようになった。

    終活が専門の私は”老人がする終活”のことかと思っていたが、どうやら違うようで終活は人生の終わりに備える活動なのに対して、老活は自分らしく老後を過ごすための活動のことらしい。

    定年を迎えて第2の人生を考え始めた時ぐらいから、人生の締めくくりまでを指すらしく、やりたかった事や思い描いていた夢を叶えるために活動(準備)することを『老活』というのだそうだ。

    仕事をしていた時は忙しくてできなかったボランティアや習い事、旅行の予定を立てるのも『老活』の一環だと思う。

    定年退職をした人が(特に男性)社会との関わりがなくなり、家に閉じこもりがちという話もよく聞く。

    今まで仕事一筋で趣味もなかった人が定年になり、一気に老け込むというのも分かる気がする。

    最近では定年退職後も身体が動けるうちは働くのが一般化されつつあるが、残りの人生は仕事以外で楽しみたいという人もいるだろう。

    そういう人は『老活』で趣味探しをしてみるのはどうか。

    一人で楽しむ趣味もいいが、できれば誰かと関わりが持てる趣味をお勧めしたい。

    社会と繋がり、誰かとコミュニケーションをとることで認知症予防にもなる気がする。

    何より、もし何か起こった場合に気付いてもらえる可能性が上がるのではないか。

    いつも集まる場所に顔を出さなかったら、何かあったのではないか?と誰かが気にしてくれる。

    そういうコミュニティは年齢を重ねるほど重要になってくる。

    どんな趣味であれ、多少のお金はかかるだろう。

    そのためにも老後資金はしっかり管理しておいてほしい。

    あとは自身の健康だ。

    介護が必要になったら様々なサービスを検討すればいいが、まずは健康でいること。

    自分が気分良く、楽しい気持ちで毎日を過ごせるよう、『終活』の前に『老活』をしてみるのもいいかも知れない。

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    *在宅介護から施設入所へのターニングポイント

    今年90歳になる祖父は、ほんの数ヶ月前まで一人暮らしをしていました。

    数年前、まだ要介護1の時は割としっかりしていて、祖母を亡くしてからの約30年間一人暮らしをしていたこともあり、簡単なご飯は自分でできるし特に心配することもありませんでした。

    その頃は自分の意思表示もあり、家族が勧めるデイサービスなども「そんな所には行かない」と頑なに断られ続けていたのです。

    しかしだんだんと薬の飲み忘れがあったり、服を着替えなくなったり(多分お風呂に入っていなっかた)基本的な生活ができなくなってきました。

    そしてやっと受け入れてくれたのが在宅ヘルパーさんです。

    それでも最初の頃は「別に来てくれなくていい」と機嫌の悪い日もありました。

    せっかくヘルパーさんが来て生活の手助けをしてくれるのに、ヘルパーさんが来るまでに夕食を済ませ、洗い物まで自分でしている状態でした。

    何のために来てもらっているのやら・・・という思いで家族は見守っていましたが、日が経つにつれて祖父もヘルパーさんが来るのを楽しみにしているようでもありました。

    私や母は祖父に対してついつい口うるさく言ってしまっていました。

    今までできていたのになぜできないのか?

    こちらの言っていることを全然聞かない!

    認知症の家族に対して毎日がこんな葛藤の繰り返しです。

    しかしヘルパーさんは優しく、いつも祖父優先の会話をしてくれていました。

    介護をする側の心構えの一つに『介護が必要な人の尊厳を保つ』ということがあります。

    しかし私や母は何もできなくなった老人として接していたのです。

    これは本当に反省すべき点ですが、実際に家で介護をするというのは綺麗事ではできません。

    時々事件として介護に疲れて殺してしまったというニュースを見ますが、全く理解できないこともないと思いました。

    認知症の祖父を一人暮らしさせているとはいえ、一日中ずっと見張っている訳にもいかないので、正直一人の時は何をしているのか分かりません。

    危険だと感じた行動がいくつもありました。

    祖父を見ていて思ったのが、高齢者は一年で変わるということです。

    去年できていたことが今年はできなくなっているのです。

    小さい子供が一年ごとに成長して去年できなかったことが今年できるようになるのとは逆で、歳を重ねるごとにできないことが増えていくのです。

    ヘルパーさんにお風呂を促され、浴室に行ったはいいがそこからどうお風呂に入っていいのか分からなくなったり、お風呂から出てきて体は拭いたがその後パジャマを着ることに頭が回らず裸のまま座っていたりします。

    車の運転をしていた頃も、最後は車に閉じ込められて(ロックがかかっていただけ)出られなくなり免許証を返納させました。

    車の代わりに電動自転車にしてからも最初の頃は良かったのですが、次第に充電の仕方が分からなくなったり、転倒して自分で起き上がることができなくなったので自転車も取り上げました。

    色んなことを制限させるのは可哀想だとも思いましたが、事故につながる危険を考えたら仕方ありませんでした。

    人によっても違うとは思いますが、高齢者の一年というのは確実に去年とは違うと思っておいてほしいです。

    私が早めの終活を勧めるのはそこに理由があります。

    今、面倒だと思っていることを来年やりますか?

    先延ばしにしているうちに意思表示ができなくなるかも知れません。

    もしかしたら寿命が来てしまうかも知れません。

    一年ほど家での介護をしていたのですが、母と相談して施設に入所させることにしたのは、一人暮らしをさせておくのに限界を感じたからです。

    訪問販売を契約してしまったり、昼間の徘徊があったので常に誰かがいる施設の方が祖父も安心して生活できると思い決断したのですが、我が家の場合は本当にタイミングが良く、予約してから早い段階で入所できました。

    地域や施設の種類にもよると思いますが、⚪︎年待ちとか普通にあるみたいですね。

    入所した当初は「こんな所イヤ」とか言い出さないか不安がありました。

    初めての面会の時は一度だけ「帰りたい」と言いましたが、その次からは聞いていません。

    もう家の存在を忘れてしまったのかも知れません。

    でも、「ここの人はよくしてくれる」と職員さん達に対する感謝の気持ちは持っていました。

    職員の方も「入って来られた時より穏やかな顔をしている」と言ってくれます。

    祖父が望んでいた生活かどうかは分かりませんが、面会に行くとニコニコしている祖父を見て、私も母も穏やかな心で接することができているのは間違いありません。

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    *意思表示の重要性

    私は終活の中で自分の意思表示をしておくことが一番重要だと考えている。

    病気やケガの損傷で脳の機能が止まった時、あるいは認知症になった時などは自分の意思を伝えることができなくなってしまう。

    これは怖いことだと思う。

    家族や周りの人があなたの寿命を背負うことになるからだ。

    介護や医療(延命治療)に関しては、早めに家族と話し合っておくことを切に願う。

    少し前に「名医たちが明かす”私は延命治療を受けたいか受けたくないか”」という記事を読んだ。

    日本医師会では『生命維持処置を施すことによって、それをしない場合には短期間で死亡することが必至の状態を防ぎ、生命の延長を図る処置・治療のこと』というのが延命治療の定義だが、曖昧な部分もあるみたいで病気によっても医師によっても違うらしい。

    人工栄養・人工呼吸・人工透析はもちろん、つらく苦しい抗がん剤治療も延命治療と捉える医者もいるとのこと。

    昔は病気になれば医師の診断のもと治療が施され、手の尽くしようがなくなった時が人生の幕を閉じる瞬間だった。

    しかし今は医療の進歩によって皮肉にも”命を延ばす”ことが可能になり、”管に繋がれた状態”で日々を生きる人が増えているのが現実。

    多くの延命治療は苦痛を伴うのも事実で、家族としては本人に長生きしてもらいたい一心で延命治療にゴーサインを出し、その結果本人の苦しむ姿を目の当たりにするケースも少なくないのだとか。

    名医のケース①

    「治る見込みがあれば延命治療を受ける。可能性が高くないと判断したら受けない。」

    この先生は自分が若い頃に医者として可能な範囲の治療を最後まで続けていたが、結果として出血やむくみ、黄疸が出て、生きたまま人体が腐るようになっても治療を止められず悲惨な状態になった患者をたくさん見てきたと言う。

    無理矢理食べさせ、点滴し、酸素マスクをして数日や一週間寿命が延びても本人が苦しむだけ。

    高齢で寿命が近づいた患者に対して医療は無力だと感じたそう。

    また、多くの人は延命治療に幻想に近い期待を抱いて現実を見ようとしないとも。

    自身の父親は認知症で寝たきりだったが、延命治療を望まず自宅で看取り、母親も祖父母もみな家で死を迎えたと言っている。

    そういう経験上、過度な医療を受けずに死ぬことが最も穏やかで好ましい死につながると確信したそうだ。

    名医のケース②

    「治療しても以前の状態に戻らないのであれば延命治療は受けない。」(例えば脳出血で脳の中枢をやられて意識が戻らないなど)

    この先生は延命治療とは何か、自分はどう生きたいかという価値観にまで踏み込んで話し合っておいてほしいと考えている。

    完全な答えでなくても、何かがあった時の判断にする根拠になるから。

    自身の父親が急病のため亡くなる少し前、延命治療について話す機会があったそうで「機械に繋がれてまで生きたくない」という父親の思いを聞いていたので、実際に倒れた際、救急医とスムーズな意思疎通ができたと言っている。

    「もう治療はいりません」と医師に宣告し、配偶者や親の死を後押しするのは家族にとって十字架を背負うに等しい。

    確かにその通りで、本人の意思をクリアに伝えておけば家族が苛まれる罪深さや自責の念を軽減できるはず。

    自分の場合はどうだろう・・・

    祖父が施設に入所する際にも聞かれた。

    「もしも、もしも万が一のことがあった時は延命治療はどうされますか?」と。

    本当にそうなった時には再度確認の連絡をしてくれるらしいが、電話に出られない時かも知れない。

    入所手続きの時に聞かれ、母と私は一応答えを出してきた。

    認知症になってこちらの言っている言葉をあまり理解できなくなった祖父の本心を聞くことはもうできない。

    祖父の寿命を握っているのは間違いなく私たち家族。

    いずれ人は死ぬ・・・。頭では分かっていても重い十字架を背負ったことに変わりないことをこの時悟った。

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    *自分らしく生きるお金の算段

    「人生100年時代」といわれる現代で、老後資金の準備はとても大切です。

    2,000万円必要といわれていたのが、今は5,000万やら1億などと書かれている週刊誌の記事があります。

    それらを見て不安になっているご高齢の方も多いのではないでしょうか?

    平均寿命が延び、一体いくらあれば安心して老後を過ごせるのか…

     9095
    男性27.510.1
    女性52.027.1

    厚生労働省「令和3年簡易生命表の概況」より 

    上の表で分かるように、女性の場合は約2人に1人が90歳まで、約5人に1人が95歳まで生きる可能性があるといえます。

    しかし、年金額や持っている資産、生活にかかるお金などは人それぞれです。

    また、住んでいる地域によっても異なるので周囲の情報に惑わされず、まずは自分のライフスタイルを見直して検討してみましょう。

    資産管理のポイント

    ・周囲の雑音に惑わされない

    ・少しでも長く収入を得るための活動を行う

    ・投資資産は年齢を重ねるごとに縮小していく

    ・自宅のリフォーム費用、施設への入所費用も準備しておく

    ・ムダな出費を控える(保険、自動車、交際費)

    ライフイベント表の作成

    この先10年20年後までのイベントを書き出してみましょう。

    具体的に何年後にどのようなことが起きるか、そのためにはどれくらいの費用がかかるのか、ある程度把握しておきます。

    (例)

    経過年数  年 齢     人生のイベント

     今年      60    退職・再雇用、夫婦で旅行、終活開始

     1年後    61    家のリフォーム、孫小学校入学

     2年後   62    父親の3回忌、町内会の仕事を始める

     3年後     63    キャンピングカーを購入 旅に出る

     4年後   64    終活の実践を始める

     5年後    65    仕事を辞める、子に住宅資金贈与200万円

     6年後   66    夫婦で田舎に移住

    家計の支出

    家計簿をつけている人であれば、毎月だいたいの支出が分かると思います。

    年金の範囲内で暮らせるか、無理そうな場合は預貯金からいくら取り崩せば毎月暮らせるかを試算することができます。

    今まで家計簿をつけていなかった人は、まずは3ヶ月から半年ほど家計簿をつけてみて我が家の支出を確認しましょう。

    老後の生活費をどこから捻出しているかを調べたものでは、やはり公的年金が最も多いようですが定年後も働いて収入を得ているようです。

    子どもが親の収入を知ることができれば、いざという時に施設入所など、どれくらいの介護を受けさせることができるのかも分かります。

    親のお金だけで大丈夫なのか、子である自分たちが援助しなければならないのかが明らかになるので、家族間でお金の話をしておくことも大切です。

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    *ペット(信託契約等)について

    日本では亡くなった飼い主の財産をペットに相続させることはできません。

    自分が亡くなったあと、ペットはどうなってしまうのか心配ですよね。

    ペットといえど大切な家族の一員です。

    動物を我が子のように大事に育てている方がほとんどです。

    飼い主にもしもの事態があった時のために、大切なペットを「託す相手」と「託す内容」と「託す方法」を検討しておかなければなりません。

    まずは託す相手ですが、知り合いや身近な人が引き取ってくれる場合はいいですが施設やNPO法人を頼る手もあります。

    ペットが安心して余生を過ごすための施設を運営していたり、新しい飼い主を探してくれるNPO法人を調べます。

    早めに見当をつけてボランティアなどに参加しておくことをお勧めします。

    ペットを託すにあたって、具体的にどれだけの財産・対価を準備しておくべきかも決めておく必要があります。

    生活費や医療費、また平均的なペット葬儀費用などを参考にしてください。

    かかりつけ医や病歴、ペット保険加入の有無についてもエンディングノートに記載しておきましょう。

    他にもう一つ「信託」という法律行為を活用する方法があります。

    信託とは自分の財産を信頼できる人や団体に託す、文字の通り「信じて託す」ということです。

    一般的には、他人間で契約に基づいて財産の譲渡を行い、定められた目的に従って財産の管理・処分を行う行為をいいます。

    信託を使う一番のメリットは、ペットのお世話に強制力と監視力をつけることができるという点です。

    なぜなら信託では受託者に課せられる義務があるからです。

    ①善管注意義務(善良な管理者の注意を怠らない)

    ②忠実義務(受益者のため忠実に事務にあたる)

    ③分別管理義務(信託財産とその他を分別して管理する  等

    遺言書では、ペットのお世話を頼んだとしても頼まれた人の善意に頼るしかありません。

    また、遺言書にペットのお世話の方法(例えば「このフードを食べさせてほしい」とか「この動物病院で受診してほしい」)などの要望を入れてもそれが実現できるとは限りません。

    信託では契約を開始する条件として、委託者が生きている間、希望するお世話が実現できているか見守る設計も可能となります。

    (最初に信託を設定する際に数十万円の費用がかかります)

    大切な家族の一員でもあるペットを自分が万一の際にどのように守っていくかも、現代のペット社会では考えておかなければなりません。

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    *おひとり様の生前契約

    国勢調査によると、2030年には男性の3人に1人、女性の4人に1人が生涯未婚者になるという予測が出ているそうです。

    「未婚の方が行動や生き方が自由である」「結婚はしたいが経済力が足りないから諦めている」「結婚する必要性を感じない」

    理由は色々あるようですが、この先も生涯未婚率が高くなることは確実だと考えられます。

    年齢を重ねることにより解決が難しい問題が出てきますが、互助組織等と生前契約を結ぶことで解決可能なこともあります。

    おひとり様終活のポイントは、自分のことが自分でできなくなった場合を想定し、事前に生前契約を結ぶことで自分の希望を伝えて実施できるようにしておくことです。

    生前事務(後見事務)で契約可能な事

    ・入院、賃貸住宅入居、老人ホーム等への入所の際等の身元引受保証

    ・認知症などになった場合の後見、ケア

    ・手術の立会い、医師からの説明への立会い、同意の代理等

    ・医療上の判断に関する意思表示の代理

    ・財産の維持管理や処分等の支援や代理

    ・介護保険その他必要な福祉サービスの契約の代理、立会い  等

    死後事務で契約可能な事

    ・火葬、納骨、葬儀

    ・住んでいた住居の片付け、賃借の場合は返還事務、同居していた人に対する住替え支援

    ・保険、年金などの諸手続き

    ・クレジットカードなど各種カード類の解約、返還手続き

    ・個人情報(パソコン、携帯電話等)の消去、破棄

    ・ペットなど死者が愛用していたものや情報の処分

    ・祭祀財産の処理(墓、仏壇の管理や処分なども含む)

    ・死後もお世話になった方へのお祝いや香典などの社会参加の代理、代行  等

    生前契約を結ぶ前に確認するポイント

    !契約に関する書類や説明は十分に行われているか

    !費用についてホームページ等に明示してあるか

    !決済機構と分離してお金の管理が行われているか

    !実績や規模について確認  等

    生前契約は誰に依頼するのか、元気なうちから決めておくことが重要です。

    ○身内で甥や姪に依頼

    ○友人知人に依頼

    ○弁護士や司法書士などに依頼

    ○NPOなどに依頼

    現在ではNPO法人などで生前契約を結び、自分で自分の意思を伝えられなくなった時から亡くなった後までの様々なことを依頼できるところがあります。

    ただし玉石混合なので見学会に参加したり、実際に利用している人の話を聞いたり、契約時には契約書などの契約事項をしっかり確認することを忘れないでくださいね。

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    *死後事務委任契約と民事信託

    自分が亡くなった後の諸手続について心配されている方も多いのではないでしょうか。

    委任者(本人)が第三者(個人、法人を含む)に対して、亡くなった後の諸手続、葬儀、納骨、埋葬に関する事務等について代理権を付与して死後事務を委任する契約があります。

    死後事務委任契約

    どんなことを委任できるのか、例を書いておきますね。

    ○亡くなった後の医療費の支払いに関する事務

    ○家賃・地代・管理費等の支払いと敷金・保証金等の支払いに関する事務

    ○老人ホーム等の施設利用料の支払いと入居一時金等の受領に関する事務

    ○通夜、告別式、火葬、納骨、埋葬に関する事務

    ○菩提寺の選定、墓石建立に関する事務

    ○相続財産管理人の選任申立手続に関する事務

    ○行政官庁への諸届け事務

    これらは親族はもちろん、知人や信頼をおける人であれば誰でも可能なので自由に選べます。

    (特別な資格はいりません。)

    親族がいない場合や、頼めない事情がある方は司法書士などの専門家に任せることをお勧めします。

    インターネットで無料ダウンロードできるものや書籍などでひな形が書かれているものもあります。

    家族や親族などの間で行われる、営利を目的としない信託で「民事信託」というものがあります。

    これは信託銀行等で契約する一般的な商事信託とは内容が異なります。

    民事信託

    メリットは、高齢者やその他財産管理が困難となることが見込まれる人が、実際に困難になった際にも財産管理の継続性を維持できることです。

    (例)認知症対策、相続対策、事業承継対策、親亡き後の問題対策

    自分の財産を「誰に」「どのような目的で」「いつ」渡すことをあらかじめ生前に契約し、その財産を管理できる権利を信頼できる相手に移し、将来その契約を確実に実行させていくことができます。

    民事信託には、基本的に3者の登場人物がいます。

    ・委託者(財産を持っている人)

    ・受託者(財産を管理する人)

    ・受益者(利益を享受する人)

    民事信託は公正証書でなければならないので、公証人役場で作成します。

    色々なケースがあるので、専門家が介入するケースがほとんどです。

    ひな形は書籍やインターネットでダウンロードできます。

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    *委任後見契約と見守り契約

    年老いてゆく不安の中に「認知症になったらどうしよう」と考える人も少なくないと思います。

    判断能力が失われてしまうと、自分で財産を管理したり契約したりすることが難しくなります。

    このような場合に自分の代わりに財産管理をしてくれるのが後見人です。

    任意後見契約

    後見人には、あらかじめ自分で決めて契約しておく『任意後見人』と家庭裁判所で選任される『法定後見人』があります。

    『任意後見人』

    本人が十分な判断能力を有する時に、あらかじめ自分で契約しておく。

    任意後見人は自分で後見人を選ぶことができる。(例:自分の子どもなど)

    後見人には、預貯金の管理・払戻しや、不動産等の重要な財産の処分など「財産管理に関する法律行為」と、介護サービスの契約締結や福祉関係施設への入所契約締結などの「身上監護に関する事務」を委任することができます。

    『法定後見人』

    認知症や外傷で判断能力が失われた時は、申立人の意見を聞いて家庭裁判所が選任します。

    任意後見契約は公正証書でなければならないので、公証人役場で作成してもらってください。

    法律の専門家である公証人が本人の真意を確認し、確実な内容の契約が結ばれるようサポートしてくれます。

    見守り契約

    支援する人が本人と定期的に面談や連絡をとり、備えとしての成年後見制度(任意後見)をスタートさせる時期を相談したり、判断してもらう契約です。

    この契約をすることによって、定期的に本人と支援する人の意思疎通が可能になるため、備えとしての成年後見制度(任意後見)の契約をしてから数十年間本人と会わないといったようなことを防ぐことができ、信頼関係を継続させることができます。

    ひな形は書籍やインターネットで無料ダウンロードできます。

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    *財産管理委任契約

    年齢を重ねるごとに不安になる老後。

    「認知症になったらどうしよう…」

    「自分が死んだ後はどうなるんだろう」

    「私はおひとり様だけど大丈夫かな」

    「残されるペットが心配…」

    このように悩みは尽きないと思います。

    近くに頼れる人がいない場合、考えれば考えるほど夜も眠れなくなるでしょう。

    私が考える終活とは、準備することによって将来に対する不安を少しでも減らし、生きている今を楽しく暮らすことです。

    あれこれ考えて不安な毎日を過ごすより、できることは今のうちに先手を打っておきましょう。

    老後の万一を支える契約はいくつかありますので、何回かに分けて書いていきますね。

    財産管理委任契約

    これは本人に判断能力があることが前提です。

    自分の財産の管理やその他の生活上の事務の全部または一部について、代理権を与える人を選んで具体的な管理内容を委任する契約のことをいいます。

    先にも書きましたが、本人に判断能力があることが前提なので、状況としては病気やケガで歩けなくなったりした場合です。

    どんなことを委任するかというと、例えば「銀行からお金を引き出す」「各種の支払い」「介護保険の支払い」などです。

    財産管理委任契約は当事者間の合意のみで効力が生じ、内容も自由に決めることができます。

    依頼した人に対して、財産の管理を委任したことや委任した内容を明らかにするものが『財産管理委任契約書』です。

    いくら親しい間柄で当事者間の合意のみで効力が生じるといっても、後日のトラブルを避けるためにも委任を受けた人はきちんと記録し、管理の内容を説明できるようにしておきましょう。

    また、金融機関によっては財産管理委任契約書では代理権を認めず、取引の都度、個別の委任状などの提出を要求するところが多いので注意が必要です。

    契約を厳格にする際には、公証人役場で公正証書を作成してください。

    財産管理の委任契約の他、このあとに説明する「見守り契約」や「死後事務委任契約」は公正証書にした方がいいと思いますが、家族などの間では契約書を自分たちで作成して報酬なしの場合もあります。

    契約書はインターネットでダウンロードできるものや、書籍などでひな形が書かれているものもあります。