老衰やがん、認知症などの進行によって医学的に治療や延命が不可能になった状態で、余命が数ヶ月ぐらいだと想定される時期を『終末期』といいます。
この場合、ほとんどが要介護状態を経て最期を迎えます。
介護度が上がり、認知症が進行すると、日常的な言語的コミュニケーションが難しくなるので、本人に対して現実見当識を求めるのではなく、仕草や表情を読み取って、本人にとっての心理的真実をそのまま肯定的に受け止めていくようなコミュニケーションの仕方が重要になってきます。
私の祖父も認知症が進み、ほとんど喋らなくなりました。
面会の時に「私は誰?」と聞いても何も答えず、しつこく聞いて、やっと「ま・・・ご」と言うぐらいです。
1年前と比べたら表情も乏しくなり、その時何を考えているのか、どうしてほしいのかを読み取るのは非常に難しいです。
このような非言語的なサインを読み取りながら進められるコミュニケーション技術は、一方で昏睡状態の人とコミュニケーションする技にもつながるのです。
これは母親が直感的に赤ちゃんのニーズを読み取って世話していくプロセスにも通じるものがあります。
終末期のケアにおいては、人生最初期のケアに関する経験も役に立つのです。