*医療について(延命治療)

まずは「尊厳死」と「安楽死」について説明します。

尊厳死とは余命いくばくない状態で、ただ命を長らえるだけの延命治療は行わないでほしいというものです。

延命治療を希望しないのであれば、エンディングノートとは別に『尊厳死宣告書(リビング・ウイル)』という文書を作成しておく方法もあります。

自分の病が治る見込みがなく、死期が迫っている場合に人間としての尊厳を保ったまま死を迎えることを望む旨等を書いておくのが『尊厳死宣告書(リビング・ウイル)』です。

一方、死期が迫っている患者に耐え難い苦痛があり、患者本人が「早く逝かせてほしい」という意思を持っていることが明らかな場合に投薬などにより医師が積極的な医療行為を行い患者を死なせることが安楽死です。

安楽死を合法的に認めている国や州もありますが(オランダ、ベルギー、アメリカのオレゴン州など)日本では患者を安楽死させた事件ではいずれも医師の有罪判決が確定しています。

延命治療とは、死が間近に迫っている患者に対して単に死期を引き延ばすこと(延命)のみを重視した治療のことです。(人工呼吸器や肺蘇生装置など)

医療技術の進歩で多くの命が救われる一方、回復の見込みがないにもかかわらず患者を死なせないためだけの治療が行われていることに疑問を投げかける動きが増えているのも事実です。

延命治療は一度始めると途中でやめることが躊躇されます。

それは、日本では尊厳死に関する法律が整っていないため、医師や医療機関が殺人罪に問われる可能性があるからです。

そういった時に『尊厳死宣告書(リビング・ウイル)』を作成しておけば、家族は医師と相談して中止を行なっても、これは倫理的に認められることです。

例えば、胃瘻(栄養をとるために腹部を小さく切開して胃のあたりの皮膚に孔を開ける処置をして、ここから液体を補給すること)という医療措置が行われている場合、栄養補液を少しずつ減らしていけば結果として尊厳死となるようです。

終活をする中で、延命治療を望まないのであれば家族に伝えておくことが重要です。

自分は延命治療を拒否したいと考えていても、家族にしてみれば一日でも長く生きていてほしいという気持ちから延命治療を行なってしまうことがあるからです。

「これで良かったのか・・・」と、家族が心を痛める悲劇を避けるためにも、自分の意思を伝えておきましょう。

延命治療を拒否する場合でも、「延命はしない」と大まかではなく、「ここまでは受けるけど、この先はやらない」というイメージを本人と家族が共有しておくことが大切です。