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    *11月8日は『いい歯の日』

    歯の健康を保ち、長持ちさせるには、かかりつけ医による定期検診やクリーニングと自分に合う歯ブラシで適切な歯のセルフケアを両輪で行うのがカギだそうだ。

    日本人の約8割が1日に2回以上、歯磨きをしているというが、虫歯ゼロの人は少なく、加齢とともに歯周病に悩む人は多い。

    丁寧に磨いているつもりでも、汚れを落としきれていないことがあるので、やはり定期的に歯科に通うことが大切だと思う。

    ここで問題。

    「歯磨き粉は少しだけつけるorたっぷりつける」

    どちらが正しいのか?

    以前はあまり泡を立てると磨きにくく、磨き残しが増えるため、少ない歯磨き粉で磨くことが推奨されていた時期もあった。

    私もその時の記憶があり、歯磨き粉は少なめがいいと思っていた。

    しかし現在は1000〜1450ppmの高濃度フッ素入り歯磨き粉をブラシ部分の3分の2以上につけることが推奨されている。

    時代の変化とともに、昔は推奨されていたことが検証の結果違っていたということもある。

    “おばあちゃんの知恵袋”的なもので”やけどにはアロエ”と言われていた時代もあったが、アレルギーを引き起こし、塗った場所にかぶれが出るかも知れないことから、今はまず冷やすことが推奨されている。

    歯磨きの方法だけでなく、物事はどんどん進化しているので私たちもアップデートをしなければならない。

    今回『歯』について書いたのは、歯周病と認知症には関係があるからだ。

    歯を喪失し、入れ歯を入れずにそのまま放置している人は、20本以上歯が残っている人と比べて認知症の発症リスクが約2倍高くなるという報告も出ている。

    噛む力の低下や栄養の偏りなどが起こり、認知機能が低下すると考えられている。

    歯周病菌による悪影響は認知症だけでなく、糖尿病や心筋梗塞、脳卒中など、寿命を縮めるようなさまざまな病気に関わっている。

    アルツハイマー病の原因と見られるアミロイドβの蓄積は40代後半からすでに始まっている。

    糖尿病や動脈硬化も中年以降、一気にリスクが高まる。

    つまりこの時期からしっかりと歯周病菌をコントロールしていれば、さまざまな病気の進行を未然に食い止められる可能性が高いと言えるのだ。

    セルフケアだけでは未完全な部分を歯科に通うことで認知症をはじめ、さまざまな病気のリスクを少しでも減らすことができればと思い、私は来月の定期検診の予約の電話をした。

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    *今日も今日とて

    個人的な話だが、今日は特別な日だ。

    私の誕生日である。

    数人の友人からお祝いのメッセージが届き、家族がケーキを用意してくれて、なかなか幸せな人生を送っていると思う。

    ちょっと人生を振り返ってみた。

    お祝いしてもらうのはいくつになっても嬉しいのだが、私はある程度の年齢になってから自分の誕生日は母親に感謝する日にしている。

    46年前の今日、母親が頑張ってくれたおかげで私は今ここにいる。

    母親は偉大だ。

    人生100年時代と言われているが、未来のことは誰にも分からない。

    すでに老眼鏡のお世話になっている私だが、この先ひざが痛くなってコンドロイチンのサプリを飲んでいるかも知れないし、もっと先には杖を使って歩くようになっているかも知れない。

    歳を重ねて身体に不調は出ても気持ちは明るく楽しい毎日を過ごしていたいものである。

    終活をするということは、自分自身と向き合うこと。

    とは言っても、働き盛りや子育て世代の人は本当に毎日忙しいと思う。

    自分の時間などゆっくり持てないのが常である。

    しかし自分の誕生日ぐらいは少し立ち止まってみてはどうだろうか。

    自分が生まれた日のことから現在のこと、そして少し先の未来とその先にある人生の終わりの日。

    気持ちに余裕がある時に自分の意思(理想や希望)を確認してみてほしい。

    何となく毎日を過ごしていてドラマチックなことが起こらなくても「朝、目が覚めた」「今日も家族とご飯を食べた」「友達と笑い合った」そんな当たり前の日常が本当は一番幸せだったりする。

    今日も今日とて・・・

    誕生日のように特別な日でなくとも、いつもと変わらない日々を過ごせていることに感謝してこれからも生きていこうと思う。

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    *認知症は長寿の勲章!

    9月は世界アルツハイマー月間で、9月21日は世界アルツハイマーデーである。

    日本神経学会では『一度正常に達した認知機能が後天的な脳の障害によって持続的に低下し、日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態を言い、それが意識障害のないときに見られる』のが認知症の定義とされている。

    年齢を重ねると物忘れが増えたり、顔は分かっているのに名前が出てこないということがよくある。

    しかし生理的老化と認知症には違いがあり、行動上に問題が出たり生活に支障をきたすようになるのが認知症である。

    少し前に私は”認知症の方の理解とかかわり方”という研修を受けた。

    そこで衝撃的だったのが、認知症は長寿の勲章!という言葉である。

    長生きすればするほど認知症になるリスクは高まる。

    認知症になる最大のリスクは長寿なのだ。

    私の祖父は今月90歳になったが、認知症の症状が出始めてから「なぜこんなことができないの?なぜ言ってることが分からないの?」と祖父に対してきつく当たってしまっていた。

    しかし認知症の人からすれば、いきなり何もできなくなるのではないのだ。

    重要なのは認知症の人にも役割があるということ。

    これは障がいがある人にも言えることではないだろうか。

    当然のことだが、認知症の人や障がい者にも意見や意思はある。

    何でもかんでもしてあげたり勝手に話を進めるのではなく、何に困っているかを本人に聞き、理解することが大切。

    そこから工夫が生まれ、社会を変える大きな力になる。

    認知症には種類があり、アルツハイマー病の軽度であれば治療薬がある。

    その他の認知症も薬で進行を遅らせることができる。

    早期発見にはメリットがあり、自分が理解できる時点で受診し、少しずつ理解を深めていけば生活上のトラブルを減らすこともできるのだ。

    認知症をオープンにすることで「認知症になっても大丈夫!」と思える社会を私たちで作っていかなければならないと思った。

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    *高齢者と詐欺被害

    オレオレ詐欺をはじめ、高齢者がターゲットとなる犯罪は多い。

    電話だけでなく、訪問販売などの悪質商法も後を絶たないようだ。

    全ての訪問販売が悪い訳ではないが、中には本当に酷いなと思うやり口もある。

    実際、私の祖父も悪質な訪問販売に引っかかってしまったのだ。

    名前は出さないが、某有名な乳製品を扱う商品を契約させられていた。

    食事を運ぶため毎日家に行っていたのだが、明らかに家族が渡したものではない商品のゴミが捨ててあったので気付いた。

    多分、お試しでもらったのだと思う。

    しかし認知症の祖父は食べる量を調節できる状態ではなかったので、置いて帰った商品のほとんどを食べたり飲んだりしてしまっていた。

    数日後、注文書らしきものを見つけたので本人に聞いても「分からん、知らん」と言うだけ。

    注文書をよく見ると、名前は祖父の字だったが住所は祖父の筆跡ではなかった。

    訪問販売に来るぐらいだから、住所は知られているだろう。

    営業に回ってきた人が書いたのだと思う。

    私は憤りを感じた。

    認知症の祖父にうまいこと言って名前を書かせたのだと思うと本当に許せない。

    それから営業所に何度か連絡したが、誰も出ることはなく、折り返しの電話もない。

    仕方なく留守電にキャンセルのメッセージを残したところ、ようやく連絡がきた。

    契約には至らずキャンセルできたから良かったが、一人暮らしの高齢者や認知症の人を狙ったこういう事例は多いらしい。

    警視庁の報告によると、令和4年に65歳以上の高齢者が被害を受けた特殊詐欺の件数は17,570件中15,114件。

    全体の85%以上の被害者が高齢者ということになる。

    『被害の多い詐欺・悪質商法事例9選』というのがあるので紹介しておこう。

    ①電話勧誘販売→事業者が電話で勧誘を行い、申し込みを受ける取引のこと

    ②訪問販売→無店舗販売の一種で消費者宅に訪問して訪問先で商品の販売活動を行う小売形態

    ③訪問購入→事業者が消費者の自宅等を訪問して、物品の購入を行う取引

    ④還付金詐欺→被害者に還付金を「受け取る」手続きと誤解させて「振り込み」をさせる

    ⑤金融商品詐欺→価値がない未公開株や高価な物品等について嘘の情報を教え、購入すれば儲かると信じ込ませる

    ⑥オレオレ詐欺→息子や孫、会社の上司などを装い、トラブルや横領の補う金を名目に騙し取る

    ⑦架空請求詐欺→未納料金が発生しているなどの名目でSMSやハガキが届く

    ⑧点検商法→最初は無料点検と言い、点検の結果不安を煽り工事契約させる

    ⑨送りつけ商法→突然一方的に商品を送りつける

    結論から言って、私の祖父のように認知症であれば契約行為は無効にできるのだが、詐欺や悪質商法の被害に遭ってしまった場合はどこに相談すれば良いのか?

    以下の3つの相談先を覚えておいてほしい。

    1.消費者ホットライン「188」

    2.消費生活センター

    3.警察相談ダイヤル「#9110」

    高齢者が詐欺被害に遭わないためには・・・

    『自分は大丈夫という思い込みを捨てる』

    『在宅時でも留守番電話の設定をする』

    『知らない番号の電話には出ない』

    などの対策を立てておくことが重要だ。

    もしかしたら騙されたかも知れないということを隠そうとする高齢者は多いらしいが、不安な時は家族や周りの人に相談する勇気を持ってもらいたい。

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    *親と子のジェネレーションギャップ

    これは完全に『私調べ』だが、私は終活に関するアンケートをとっている。

    対象者は40代〜80代の男女。

    「いつ頃、終活を始める予定ですか?」という質問にやはり多かったのが「60歳頃から」という答えだった。

    一般的な回答であると思う。

    すでに60代以上の方は「終活をする予定はない」または「80代」と答えた方もいた。

    中には身の回りの不用品を処分したり、知人に譲ったりと断捨離をしている方はいた。

    私が終活を勧めるのは高齢者だけではない。

    40代・50代の方にも終活を勧めている。

    いや、心構えとして40代・50代の早いうちから知ってもらいたいと考えている。

    終活を勧める中で難しいなと感じるのが世代間ギャップである。

    40代・50代の方には比較的話を進めやすいが、私の母を含め、60代以降の方にはなかなか理解してもらえないのが現状だ。

    そもそも親世代に”終活”や”断捨離”といった言葉が浸透していないのだ。

    知っていたとしても、どこか他人事のように思っている気がする。

    断捨離に関していえば、私の母もそうだが「いつか使うから」「昔デパートで買った高い服だから」と言って使わないであろう物をしまい込んでいる。(しまい込んでいる時点で使わないのだ)

    こちらとしては何でもかんでも捨てろと言っている訳ではない。

    もちろん60代以上の方で、不要な物に囲まれずコンパクトな生活をしている方もたくさんいる。

    そういう書籍も数多く出版されている。

    しかしそういう方は一部で、大半の親世代は昔の物が捨てられず大事にとってあるのだ。

    私は母と同じ敷地内に住んでいるため生活の様子を時々チェックすることはできるが、親元を離れて暮らしている子は、たまに帰省した時に実家にある物の多さにビックリすることもあるだろう。

    親が亡くなって片付けをするのは結局子である私たちなのだが、そんなことはお構いなしな気がする。

    本当に大切な物、死ぬその時まで置いておきたい物は捨てる必要はない。

    しかし高齢になるにつれ、家の中が物で溢れていると危ないのだ。

    転倒の危険、棚の上から物が落ちる危険、万が一火事を起こしてしまった時の火の回りの速さ・・・

    できればスッキリした場所で心に余裕を持ちながらゆったり生活してほしいのは子の願いでもある。

    独居老人がセルフネグレクトになり、家がゴミ屋敷になってしまった事例もたくさんある。

    元気で身体が動くうちに身の回りの物を少し見直してもらいたいのが子の本音である。

    では、子が親に終活を勧めるにはどうすればいいのか?

    いきなり「終活してほしい」と言っても通じない。

    私のように毎日顔を合わせて会話もたくさんしている親子関係ならまだしも、実家を離れ、たまにしか会わない子どもから終活の話を切り出されても親は困惑するだろう。

    「早く死ねと言ってるのか?」「財産を狙っているのか?」とも取られかねない(笑)

    そんな時は、帰省などのタイミングで家族が集まる機会にでもまずは「どこか旅行とか行きたい所はない?」「やりたいことはない?」と、親の話に耳を傾けることから始めてはどうだろうか。

    普段離れて暮らしているのであれば、親がどんな持病を持っているのか、かかりつけの病院はどこなのか知らない子どももいるだろう。

    困っていることはないか、親の体調を気遣いながら色々な情報を聞き出すことで、何かあった時に行く病院を把握できていればこちらも安心である。

    急に入院することになっても焦らなくていいように、健康保険証やマイナンバーカード、おくすり手帳などはまとめておくことも大事である。

    入院給付金や一時金が入る民間の医療保険への加入の有無や入院費用を支払うためのキャッシュカードの暗証番号も聞いておければ子が立て替えることもなく支払いができるので知っておいた方がいいだろう。

    子が複数人いる場合は、兄弟姉妹間で情報を共有しておくことで『もしものとき』にも連携することができる。

    親の話に耳を傾けるということは、家族のルーツを知る機会でもある。

    家系図を見ながら家族の歴史を聞くことは相続対策になると、以前読んだ本にも書いてあった。

    両親の出会い、結婚。

    もしかしたらその前に結婚歴があり、自分たちの知らない異母兄弟がいた・・・そんなケースもあり得る。

    隠すつもりはなく、伝えてなかっただけという場合もあるだろう。

    親が亡くなった時に誰が相続人になるのか、以前ブログで書いたように家系図を作成しておくことは終活をする中で重要なのである。

    自ら率先して終活してくれるなら話は早いのだが、どうやら親世代は終活に対して前向きではない方が多く見られたので、私もそこが課題である。

    いつやってくるか分からないことに備えるのは難しいかも知れないが、早いか遅いかというだけで、誰しも終わりの時は必ずやってくる。

    自分の親に終活を勧めるなら、まずは親の話に耳を傾けること。

    大切なのは会話をすること。

    断捨離などは終活の入り口で、本当にしておかなければならないことや話し合っておかなければならないことは他にもたくさんある。

    そこに気付いてもらえるよう終活を勧めるのが私の役目である。

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    *孤独死は本当に孤独なのか?

    これまでベールに包まれていた実態として、警察庁が5月に初めて出した統計で、今年1月〜3月にひとり暮らしの自宅で亡くなった65歳以上の高齢者はおよそ1万7000人という記事を読んだ。

    このままのペースで推移すると、独居状態で死亡する高齢者は年間約6万8000人になると推計されている。

    今や孤独死で最期を迎えるということは決して珍しいケースではない・・・と。

    孤立死(孤独死)・・・誰にも看取られることなく息を引き取り、その後、相当期間放置される悲惨な最期。

    (内閣府「高齢社会白書」より)

    統計によると、孤独死は男性が多く、7〜8割が60歳以上。

    女性の方が長生きなのに、男性の方が多いのはなぜか?

    男性は生涯未婚率が高く、結婚していたとしても離婚をしたあとは家族と離れて暮らす人も多く、単身世帯が増加したことが理由として挙げられている。

    だが女性も安心してはいられない。

    生涯未婚率や熟年離婚が増えている昨今、夫と死別したり子供も独立して一人暮らしとなった今、60〜70代の女性は『孤独死予備軍』と言われている。

    孤独死が増えている理由としては、高齢者と社会の接点が少なくなったこと。

    家族と一緒ではなく単身で暮らしたり、近所や友人知人と交流がないなど。

    前回のコラムで書いたが、定年退職してから外に出なくなった男性は家に閉じこもりがちになったりしていないだろうか。

    仕事一筋で生きてきた男性は会社に行って仕事をするという人生のほとんどを占めていたものが無くなり、急に社会から取り残された感を味わうことになっていないだろうか。

    男性と女性では、この点でも差が出ているように思う。

    しかし、精神科医の和田秀樹さんは言う。

    「孤独死は理想的な死に方だ」と。

    なぜか?

    よく考えてみると、死ぬ直前までは元気だったから。

    俗に言うPPK(ピンピンコロリ)というやつだ。

    病院のベッドで天井を見つめて死ぬのではなく、住み慣れた自宅で亡くなるのは当人にとって幸せなことではないだろうか。

    ひとりであることを受け入れ、しっかり準備しておく方が心や時間にゆとりが生まれ、最期まで生き切ることができる。

    そう考えれば、ある意味孤独死は理想的な死に方というのも納得である。

    ではなぜ「孤独死=惨めな死」という風に認識されているのか。

    それは、遺体をなかなか見つけてもらえないというイメージがあるからだろう。

    死後誰にも見つけてもらえず、長期間放置された状態で遺体が腐り異臭が出ていることもあるからだ。

    記事を読んでいて気になったのが、一人暮らしだけではなく『同居』の状態でも見つけてもらえない場合があるということ。

    こんな事例が書かれていた。

    2階に住む親と1階に住む子の交流がなく、親が息絶えたことに子が1週間気付かないというケース。

    また、リビングで亡くなった夫を認知症の妻が「お父さんが寝たまま臭くなった」と見守り、1ヶ月放置したケース。

    さらには、親の介護をする50代の子の体調が急変して亡くなり、続けて80代の親が亡くなるという『ダブル孤独死』のケース。

    超高齢化に伴って、孤独死のパターンも多様化しているようだ。

    では、長期間気付いてもらえない惨めな孤独死を防ぎ、『理想の孤独死』を叶えるためにはどうすればいいのか。

    「早く見つけてもらえる手を打っておく」ことだと識者は口を揃えている。

    家族や友人を頼れない場合は、官民のサービスを利用するのが良い。

    例えば、東京都板橋区なら『高齢者緊急通報システム』というのがあるらしい。

    民間の警備会社も見守りサービスを提供しており、ALSOKの『みまもりサポート』やセコムの『親の見守りプラン』というものがある。

    皆がよく使っているであろう LINEにも『エンリッチ見守りサービス』がる。

    各種、有料・無料プランがあるようなので自分に合ったサービスを検討してみてはどうだろうか。

    何度も言うが、終活の中で一番大切なのは意思表示をしておくことである。

    お葬式やお墓のことも大事だが、自分が死ぬまでのこと、どういう最期を迎えたいかを決めておくことが重要である。

    延命治療を含め、自分の死を誰かに決定させることはあってはならない。

    自分の準備次第で、孤独死は極上にも悲惨にもなる。

    どのように生きて、どのように孤独死を迎えるかが大切なのである。

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    *『終活』と『老活』

    少し前から『老活』という言葉を耳にするようになった。

    終活が専門の私は”老人がする終活”のことかと思っていたが、どうやら違うようで終活は人生の終わりに備える活動なのに対して、老活は自分らしく老後を過ごすための活動のことらしい。

    定年を迎えて第2の人生を考え始めた時ぐらいから、人生の締めくくりまでを指すらしく、やりたかった事や思い描いていた夢を叶えるために活動(準備)することを『老活』というのだそうだ。

    仕事をしていた時は忙しくてできなかったボランティアや習い事、旅行の予定を立てるのも『老活』の一環だと思う。

    定年退職をした人が(特に男性)社会との関わりがなくなり、家に閉じこもりがちという話もよく聞く。

    今まで仕事一筋で趣味もなかった人が定年になり、一気に老け込むというのも分かる気がする。

    最近では定年退職後も身体が動けるうちは働くのが一般化されつつあるが、残りの人生は仕事以外で楽しみたいという人もいるだろう。

    そういう人は『老活』で趣味探しをしてみるのはどうか。

    一人で楽しむ趣味もいいが、できれば誰かと関わりが持てる趣味をお勧めしたい。

    社会と繋がり、誰かとコミュニケーションをとることで認知症予防にもなる気がする。

    何より、もし何か起こった場合に気付いてもらえる可能性が上がるのではないか。

    いつも集まる場所に顔を出さなかったら、何かあったのではないか?と誰かが気にしてくれる。

    そういうコミュニティは年齢を重ねるほど重要になってくる。

    どんな趣味であれ、多少のお金はかかるだろう。

    そのためにも老後資金はしっかり管理しておいてほしい。

    あとは自身の健康だ。

    介護が必要になったら様々なサービスを検討すればいいが、まずは健康でいること。

    自分が気分良く、楽しい気持ちで毎日を過ごせるよう、『終活』の前に『老活』をしてみるのもいいかも知れない。

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    *意思表示の重要性

    私は終活の中で自分の意思表示をしておくことが一番重要だと考えている。

    病気やケガの損傷で脳の機能が止まった時、あるいは認知症になった時などは自分の意思を伝えることができなくなってしまう。

    これは怖いことだと思う。

    家族や周りの人があなたの寿命を背負うことになるからだ。

    介護や医療(延命治療)に関しては、早めに家族と話し合っておくことを切に願う。

    少し前に「名医たちが明かす”私は延命治療を受けたいか受けたくないか”」という記事を読んだ。

    日本医師会では『生命維持処置を施すことによって、それをしない場合には短期間で死亡することが必至の状態を防ぎ、生命の延長を図る処置・治療のこと』というのが延命治療の定義だが、曖昧な部分もあるみたいで病気によっても医師によっても違うらしい。

    人工栄養・人工呼吸・人工透析はもちろん、つらく苦しい抗がん剤治療も延命治療と捉える医者もいるとのこと。

    昔は病気になれば医師の診断のもと治療が施され、手の尽くしようがなくなった時が人生の幕を閉じる瞬間だった。

    しかし今は医療の進歩によって皮肉にも”命を延ばす”ことが可能になり、”管に繋がれた状態”で日々を生きる人が増えているのが現実。

    多くの延命治療は苦痛を伴うのも事実で、家族としては本人に長生きしてもらいたい一心で延命治療にゴーサインを出し、その結果本人の苦しむ姿を目の当たりにするケースも少なくないのだとか。

    名医のケース①

    「治る見込みがあれば延命治療を受ける。可能性が高くないと判断したら受けない。」

    この先生は自分が若い頃に医者として可能な範囲の治療を最後まで続けていたが、結果として出血やむくみ、黄疸が出て、生きたまま人体が腐るようになっても治療を止められず悲惨な状態になった患者をたくさん見てきたと言う。

    無理矢理食べさせ、点滴し、酸素マスクをして数日や一週間寿命が延びても本人が苦しむだけ。

    高齢で寿命が近づいた患者に対して医療は無力だと感じたそう。

    また、多くの人は延命治療に幻想に近い期待を抱いて現実を見ようとしないとも。

    自身の父親は認知症で寝たきりだったが、延命治療を望まず自宅で看取り、母親も祖父母もみな家で死を迎えたと言っている。

    そういう経験上、過度な医療を受けずに死ぬことが最も穏やかで好ましい死につながると確信したそうだ。

    名医のケース②

    「治療しても以前の状態に戻らないのであれば延命治療は受けない。」(例えば脳出血で脳の中枢をやられて意識が戻らないなど)

    この先生は延命治療とは何か、自分はどう生きたいかという価値観にまで踏み込んで話し合っておいてほしいと考えている。

    完全な答えでなくても、何かがあった時の判断にする根拠になるから。

    自身の父親が急病のため亡くなる少し前、延命治療について話す機会があったそうで「機械に繋がれてまで生きたくない」という父親の思いを聞いていたので、実際に倒れた際、救急医とスムーズな意思疎通ができたと言っている。

    「もう治療はいりません」と医師に宣告し、配偶者や親の死を後押しするのは家族にとって十字架を背負うに等しい。

    確かにその通りで、本人の意思をクリアに伝えておけば家族が苛まれる罪深さや自責の念を軽減できるはず。

    自分の場合はどうだろう・・・

    祖父が施設に入所する際にも聞かれた。

    「もしも、もしも万が一のことがあった時は延命治療はどうされますか?」と。

    本当にそうなった時には再度確認の連絡をしてくれるらしいが、電話に出られない時かも知れない。

    入所手続きの時に聞かれ、母と私は一応答えを出してきた。

    認知症になってこちらの言っている言葉をあまり理解できなくなった祖父の本心を聞くことはもうできない。

    祖父の寿命を握っているのは間違いなく私たち家族。

    いずれ人は死ぬ・・・。頭では分かっていても重い十字架を背負ったことに変わりないことをこの時悟った。